JJ1CKNのワークライフ・アンバランス

アマチュア無線などの趣味や日常の出来事を綴っている備忘録です。

アンテナエレベーターの修理(追記あり)

※備忘録です。以前のも含めて総集編です。長文、重複があり長いですがご了承下さい。

□アンテナ・エレベーター修理
懸案だったアンテナエレベーター(クリエートデザイン社製・タワーKT-20R)の修理を行いました。(2018.4.18)
依頼したのはいつもお願いしている田無タワーさんです。1kwの落成検査と同時進行だったので、検査が終了したときには修理も完了していました。



↑修理後

□エレベーターの状態
今回はエレベーターを下げている時に損傷したプレートの交換です。破損したのは昨年の台風(2017.10)の時に安全と思われる所までダウンしている時に、ステーとレールを止めているプレートの根元が金属疲労で破断しました。



↑正常なプレートと昨年10月に破断したプレート

その際に、応急処置として一番下部のプレートを移植しました。ステーは少し曲がっていましたが、修理まで持つだろうと思っていました。
強風時にエレベーターダウンしていると、アンテナが大きく揺れ、ステーも揺さぶられていましたが、何度か点検しても問題は見られなかったため、しばらくはそのままにしてしまいました。
修理日が近くなった日、帰宅時家族より強風時に「いつもより激しく揺れていた」と言われ、修理の前日に再確認すると、ステーが金属疲労で破断寸前でした。



↑2018.4.17発見したステーの破断

幸い修理直前でなんとか事なきを得ました。しかし、ステーでだけではなく、プレートも破断が発生していました。



↑上記ステーの破断と共に一部破断したプレート

□仮説
昨年の10月から半年で、また同じ状況です。それも同じ場所です。どうやら強風の際に一番ストレスが掛かる箇所と考えられます。そこで以下のような仮説を立てました。

ブームが14MHz及び50MHzが15~16m。14MHzのアンテナは重量がある為、回転することで大きな力(=大トルク)が発生します。50MHzのアンテナは軽量ですがブーム細く柔らかいため、まるで助走をつけた加速器の如く14MHzのアンテナの振れを助けるよう振れます。従って『早くて大トルクのある』力が発生すると考えられます。
そして、ブーム先端の回転幅はブームの長い前方が大きくなる為、後方側にトルクがが集中することになります。
ここで問題となるのが、エレベーターダウン時のアンテナの位置です。エレベーターはタワーの側面に沿うように昇降します。従って常に同方向でないと昇降出来ないのです。(ケーブルの取り回し上180度の変更しての昇降も出来ません)すると、常に同じ位置で風を受けるため、ブーム後方の同じ個所にトルクが加わりストレスを与えることになると考えられます。
この箇所はブーム後方側(向かって右側)のローラー、ピン、ステー、プレートになります。

さらに縦方向においては、アンテナが揺れることで生じた力が、マストベアリングを支点として、反対側であるエレベータ最下部のローラーベアリング、ピンを支える、ステー、プレートに力が掛かると考えられます。
この、回転方向、縦方向の両方が集中して力が掛かるところが前回及び今回破損したブーム後方側、エレベーター下部のローラーベアリング、ステー、プレートと思われます。その中でも見た目から強度が低いと感じたのがプレートでした。
この仮説が正しければ、この箇所だけ2回破損したのも理解できますし、さらに新しい部品に交換しても再発することと思われます。



↑仮説の絵図

□対策
今回の修理は、前回プレートそのものが強度不足考え、2枚のプレートを向かい合わせることで、強度を2倍にする方法を行うことでした。仕上がりを確認すると、綺麗にプレートが2枚重なって付けてあります。また交換したステーを破断したステーと背中合わせにして取り付けてありました。これは依頼していなかったのですが、職人さんが現場合わせをして、試しに取り付けたとのことでした。折れたステーとは言え、装着できることが判ればステー&プレートとも2枚重ねになることで、飛躍的に強度が増すと考えられます。



↑仮説からの対策



↑ステー1枚&プレート1枚(標準仕様)



↑ステー2枚&プレート2枚(改良仕様)

実はプレートだけ強度が増すと、ステーに今以上ストレスが掛かると思っていましたので、実に良い改善策となりました。職人さんグッドジョブです。

□今後
クリエートデザインのカタログによれば、強風時にエレベーターダウンすることを前提とすれば、タワーの許容受風面積以上(許容受風面積2.4㎡→アンテナ合計2.95㎡)のアンテナが搭載可能とあります。どの程度か明記してあれば良いのですが、不明だった為、曖昧にしたまま、アンテナを選択してしまったのがいけなかったかも知れません。



↑アンテナ諸元 受風面積

現在ステー及びプレートを追加発注していますが、エレベーターが初期のタイプで、納期が掛かるそうです。しかし前回の注文である程度のロットを製作していれば、すぐ入荷するとのことでした。まだ完全ではないので、不安は残りますが、対策が明確になったので良かったです。
それでも、再び同じような破損が発生した場合は、止む無く50MHzのアンテナを慣性力の小さい短めの物にしようと思います。安全第一ですからね。

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□追記(2018.4.24)
ご質問等お受けし、疑問だったことをメーカーに聞いてみました。

◆受風面積について(株式会社ナガラ電子工業)
Q)受風面積はどの方向からの数値なのでしょうか?
A)上部からの面積になります。アンテナが受ける最大値になります。

と言うことでした。想定していた横方向からの風ですが、実際には複雑な方向から吹いてくるので、最大値である上部からとしているそうです。上下斜め方向からの風も相当あるそうです。

◆ローテーターのブレーキについて(クリエート・デザイン株式会社)
Q)停止時にブームが左右に揺れた際、ローテーターも動きます。
A)ブレーキはエモトと異なりロック機構はついていません。マスト方向からモーターの反対側にシャフトが抜けており、高張力のウォームギアがつながっています。このウォームギアがブレーキの役割をしています。
Q)それではブームが動くということはギアのかみ合わせに隙間があり、バックラッシュが発生しているのでしょうか?
A)構造的にはほぼありません、若干の動きはあると思います。
Q)ブームが揺れる際にコントローラーからカチカチ音がありますが。
A)プリセットにしておくと、モーターの位置が変わることで(左右1度位は動く模様です)、元の位置に修正しようとしてモーターが動くためです。
海外に輸出を多くしていますが、海外は強風が凄いうえ、彼らの多くは許容受風面積の倍以上のアンテナを廻したり(本当に⁉)しています。またローテーターをプリセットの位置のままにしていて、モーターが常に動いている状況になる為、モーターが焼けることが多くあります。
Q)もとに戻そうとON,OFFを繰り返しているということですか?
A)その通りです。使用しないときは、プリセットにしない。若しくは電源を切ることが望ましいです。モーターへ通電しないことです。

==ついでにエレベーターの事も聞いてみました==

Q)御社のエレベーターを使っていて(中略)プレート類が破損しました。
A)アンテナは何を使っていますか?
Q)(受風面積を含め回答)
A)ブームが長い場合、風を受けると、一定ではなく共振して複雑に動くことがあります。台風などの時は、出来ればエレベーターを降ろして、アンテナそのものにロープ等でどこかに固定することをお勧めします。

と言うことでした。ローテーターのブレーキは構造上に破壊されるまでは至らないと思われますが、電源を入れたままや、特にプリセットの状態では、モーターに負担が掛かり、故障や寿命が短くなったりするようです。

ブレーキは構造上強い。ただし取り扱いを注意しないとモーターを壊すということ。これが判ったのは大きな収穫でした。
エレベーターについては、対応策は考えていない様で、私の改善策を話しました所、関心を持たれる程度でした。

2社とも大変親切に対応して頂きました。(ありがとうございます)
さて、総じてですが、使用しないときはアンテナをダウンさせること。ローテーターは使用しないときは電源を切ること。強風の時はロープ等でアンテナを固定すること。(これは大変)以上となります。使用するとき、しない時のメリハリをつけることにします。

皆さんコメントのお陰です。ありがとうございました!